【跡地】Mono-(B)Log 2nd
戸倉/サキガミ が 好き勝手にやっていく blog です。 引っ越しました。
2014.02.01
. 大遅刻とかそういうレベルじゃないよ! でも書けたのでUPするのです…
(最後に書きましたが、遅刻したのには一応理由が)
四伝ネタです。
(最後に書きましたが、遅刻したのには一応理由が)
四伝ネタです。
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十一月二十三日。世間では「いい兄さんの日」なんて呼ばれていたりいなかったりする日。
キグリス王国、国境付近の村「ギール」。小さなこの村では、本日、「ピアン・キグリス合同 秋の大文化祭」とかいう国家レベルの大規模なお祭りが開催されていた。この日のためにサイ兄(国家公務員)、夏休みに実家に帰ってこれなかったんだよ、とりんごあめを舐めながらリネッタは親友のキリアに語る。
文化祭当日は爽やかな秋晴れの日となった。雲ひとつ無い快晴の青空が気持ち良い。お祭り会場には色とりどりのテントが立ち並び、秋の味覚・きのこ汁だとか、祭りの定番りんごあめ・わたあめだとか、フランクフルトにフライドポテト、焼き芋、焼きそば、お好み焼き、ミニコミ誌の即売会、コスプレコンテストなどで盛り上がっていた。キリアとサラとリネッタの女子トリオは、それぞれの好物(食べ物)を片手に、きゃいきゃいはしゃぎながらあちこちのブースを回り、お目当てのお洒落な冊子を買い込んだりしていた。
一方。ピアンからはるばるやってきたバート・リィル・フィルの男子チームは、
「ねー兄貴!」
リィルが兄のフィルをつついて、祭り会場の片隅を指さした。そこにはひときわ派手に飾り付けられたステージ(床はヒノキ張り)が設置されていて、ある程度の人だかりができていた。
「ほらっ、あそこで兄貴にピッタリのコンテストをやってるみたいだけど、もうエントリーは済ませた?」
ステージの周囲には何本もの色とりどりののぼり旗が風にはためいていて、ポップな字体でこう書いてあった。
『輝け! 第一回 1123《イーニーサン》の日コンテスト』
「あー……。いい兄さん、ね……」
フィルは声に出して読み上げると、ははっと苦笑した。
「俺はパスするよ。どーせ優勝すんのはサイナスだろ。アイツのシスコンもとい家族愛はスゲーものがあるから……。正直、俺勝てる気がしな」
「えっ……」
フィルの言葉はリィルの小さな呟きに遮られた。リィルは心底驚いたような顔をして、兄フィルの顔をまじまじと見つめていた。
「? リィル?」
「そっ……か……」
リィルは声のトーンを落として、悲しそうにうつむいた。今にも泣き出しそうな様子に、フィルは少し焦る。
「えっ? ど、どーしたリィル? 俺何か悪いこと言ったか?」
「つまり、兄貴の弟《おれ》に対する想いって、その程度のものだったんだ……」
「えっ?!」
「大丈夫!」
微妙な雰囲気が漂い始めた兄弟の元へ、(焼きそばを買いに行っていた)バートが駆けつけた。バートは元気づけるようにリィルの肩をばしばしと叩き、熱い視線をフィルに向けた。
「大丈夫! フィル兄ならぜってー勝てる! フィル兄はリィルだけの兄貴じゃねえ。俺の兄ちゃんでもあるんだからな!」
「バート……」
「バート君……」
リィルとフィルは少し心動かされた風にバートを見る。バートは続けて叫んだ。
「大丈夫だ! フィル兄! 俺たちがついてるからなっ! エントリー受付はあっちだってさ。頑張れ!」
「そ、そうか……」
フィルはふうと息をつくと、きっ、と顔を上げた。吹っ切れたような、迷いの無い表情をしていた。
「お前らがそこまで言うのなら……。よし! お前らの熱い想いは確かに受け取った! いっちょ、張り切って参加してくるぜ! 優勝商品(お米券一年分)、楽しみに待ってろよなっ!」
メラメラとした炎を背負い、胸を張って堂々とした足取りで去っていくフィル兄の背中を見つめながら、
(おお。燃えてる)
(やっぱりちょろいな、兄貴は……)
バートとリィルは面白がってるだけだったりするのだった。
*
ちなみにその頃。リネッタの兄サイナス(アラサー独身)は。
「ちょっとサイ兄、いいにーさんコンテストに出るってマジ? やめてよーいい歳して恥ずかしい! あーんなことやこーんなことさせられるんでしょ? つーかサイ兄って一応主催者側だよね? とにかく! 出るなんて絶対ダメ! もし出たら兄妹の縁切るからね!」
妹に辛辣な言葉を投げつけられ、すっかり戦意喪失していたのだった。
---
ネームだと多分5~6コマの短いまんが。ネームは描いていたのですが、描いた直後に利き手の人差し指を怪我してしまいまして。しかも治りが遅くて未だに完治せず。キーボードは(ようやく)通常速度で打てるようになったのですが。(でもやっぱり良く打ち間違える) まあ、ペンも握ろうと思えば握れるのですけどね……
というわけで、1~2ヶ月放置してたネームだったのですが、勿体無いので、大遅刻ですがどうにか形にしてみることにしました。本当はやっぱりマンガで書きたかったのですが。「今」なら文章で書いちゃった方が早いかなということで。
ちなみに、アラサー独身のサイナス兄さんですが、結婚を前提にお付き合いしている恋人が居たりするので大丈夫です(何が) ただいま絶賛遠距離恋愛中です。
十一月二十三日。世間では「いい兄さんの日」なんて呼ばれていたりいなかったりする日。
キグリス王国、国境付近の村「ギール」。小さなこの村では、本日、「ピアン・キグリス合同 秋の大文化祭」とかいう国家レベルの大規模なお祭りが開催されていた。この日のためにサイ兄(国家公務員)、夏休みに実家に帰ってこれなかったんだよ、とりんごあめを舐めながらリネッタは親友のキリアに語る。
文化祭当日は爽やかな秋晴れの日となった。雲ひとつ無い快晴の青空が気持ち良い。お祭り会場には色とりどりのテントが立ち並び、秋の味覚・きのこ汁だとか、祭りの定番りんごあめ・わたあめだとか、フランクフルトにフライドポテト、焼き芋、焼きそば、お好み焼き、ミニコミ誌の即売会、コスプレコンテストなどで盛り上がっていた。キリアとサラとリネッタの女子トリオは、それぞれの好物(食べ物)を片手に、きゃいきゃいはしゃぎながらあちこちのブースを回り、お目当てのお洒落な冊子を買い込んだりしていた。
一方。ピアンからはるばるやってきたバート・リィル・フィルの男子チームは、
「ねー兄貴!」
リィルが兄のフィルをつついて、祭り会場の片隅を指さした。そこにはひときわ派手に飾り付けられたステージ(床はヒノキ張り)が設置されていて、ある程度の人だかりができていた。
「ほらっ、あそこで兄貴にピッタリのコンテストをやってるみたいだけど、もうエントリーは済ませた?」
ステージの周囲には何本もの色とりどりののぼり旗が風にはためいていて、ポップな字体でこう書いてあった。
『輝け! 第一回 1123《イーニーサン》の日コンテスト』
「あー……。いい兄さん、ね……」
フィルは声に出して読み上げると、ははっと苦笑した。
「俺はパスするよ。どーせ優勝すんのはサイナスだろ。アイツのシスコンもとい家族愛はスゲーものがあるから……。正直、俺勝てる気がしな」
「えっ……」
フィルの言葉はリィルの小さな呟きに遮られた。リィルは心底驚いたような顔をして、兄フィルの顔をまじまじと見つめていた。
「? リィル?」
「そっ……か……」
リィルは声のトーンを落として、悲しそうにうつむいた。今にも泣き出しそうな様子に、フィルは少し焦る。
「えっ? ど、どーしたリィル? 俺何か悪いこと言ったか?」
「つまり、兄貴の弟《おれ》に対する想いって、その程度のものだったんだ……」
「えっ?!」
「大丈夫!」
微妙な雰囲気が漂い始めた兄弟の元へ、(焼きそばを買いに行っていた)バートが駆けつけた。バートは元気づけるようにリィルの肩をばしばしと叩き、熱い視線をフィルに向けた。
「大丈夫! フィル兄ならぜってー勝てる! フィル兄はリィルだけの兄貴じゃねえ。俺の兄ちゃんでもあるんだからな!」
「バート……」
「バート君……」
リィルとフィルは少し心動かされた風にバートを見る。バートは続けて叫んだ。
「大丈夫だ! フィル兄! 俺たちがついてるからなっ! エントリー受付はあっちだってさ。頑張れ!」
「そ、そうか……」
フィルはふうと息をつくと、きっ、と顔を上げた。吹っ切れたような、迷いの無い表情をしていた。
「お前らがそこまで言うのなら……。よし! お前らの熱い想いは確かに受け取った! いっちょ、張り切って参加してくるぜ! 優勝商品(お米券一年分)、楽しみに待ってろよなっ!」
メラメラとした炎を背負い、胸を張って堂々とした足取りで去っていくフィル兄の背中を見つめながら、
(おお。燃えてる)
(やっぱりちょろいな、兄貴は……)
バートとリィルは面白がってるだけだったりするのだった。
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ちなみにその頃。リネッタの兄サイナス(アラサー独身)は。
「ちょっとサイ兄、いいにーさんコンテストに出るってマジ? やめてよーいい歳して恥ずかしい! あーんなことやこーんなことさせられるんでしょ? つーかサイ兄って一応主催者側だよね? とにかく! 出るなんて絶対ダメ! もし出たら兄妹の縁切るからね!」
妹に辛辣な言葉を投げつけられ、すっかり戦意喪失していたのだった。
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ネームだと多分5~6コマの短いまんが。ネームは描いていたのですが、描いた直後に利き手の人差し指を怪我してしまいまして。しかも治りが遅くて未だに完治せず。キーボードは(ようやく)通常速度で打てるようになったのですが。(でもやっぱり良く打ち間違える) まあ、ペンも握ろうと思えば握れるのですけどね……
というわけで、1~2ヶ月放置してたネームだったのですが、勿体無いので、大遅刻ですがどうにか形にしてみることにしました。本当はやっぱりマンガで書きたかったのですが。「今」なら文章で書いちゃった方が早いかなということで。
ちなみに、アラサー独身のサイナス兄さんですが、結婚を前提にお付き合いしている恋人が居たりするので大丈夫です(何が) ただいま絶賛遠距離恋愛中です。
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